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思い出もよみがえる家具修理

懐かしいですね 本当に
ここに父と母が座れたら
どんなに話が弾むやろかなと思ってね
涙が出そうなくらい・・・。

これは、2021年8月11日 NHK四国 特別番組 四国フューマン「思い出もよみがえる家具修理」で、阿部義澄様のお姉様(教子様)より寄せられたメッセージです。

約70年前、ご家族がみんなで囲んで食事されていたという “小さなちゃぶ台“

2020年夏、この “小さなちゃぶ台“ をはじめとした、阿部様のご両親様が愛用されていた家具全般の修理依頼を、思い出話とともにお受けしました。

焦げ跡

お預かりした時・・・
この “小さなちゃぶ台“ は、永年の使用とともに、用事がなくなり押し入れで眠っていた期間も長かったためか、乾燥や湿気のため表面はねずみ色に変色し、天板は反り上っていました。
(写真はClickで拡大します)

“小さなちゃぶ台“ には、小さな傷や焦げ跡、割れが刻まれ、ご自身で折れてしまった脚を接着剤で直しながら使い続けられていた跡もありました。

“小さなちゃぶ台“ は、亡くなったお父様(利秋様)の遺品を整理する中で見つけたものだったとお聞きしています。

割

TOKI家具館メンテナンスには、
「亡き両親からのプレゼントだから・・・。」
「結婚から永く使っているので愛着があるんです・・・・。」
「苦労していた時代に無理をして買ったものなんですよ・・・。」
と思い出話とともに家具修理をご依頼いただくケースが増えてきました。

こういった思い出話とともにお受けする家具修理に、「思い出もよみがえる家具修理」
と命名し、近年とっても力を入れているんです。

「思い出もよみがえる家具修理」の特徴はと申しますと・・・
傷跡は直しすぎない、あえて残し思い出をつなぐことです。

 

傷や割れに接するとらえ方は、家具自体の耐久性や強度に影響のある傷や割れは積極的に直します。
そして、家族の思い出や歴史の証しのような傷や割れは、要望がない限り直しすぎないようにしているんです。

ここで、阿部様にお世話になった「思い出もよみがえる家具修理」の代表例をご紹介させていただきます。
阿部様、ご協力いただき本当にありがとうございました。

TOKI家具館メンテナンス 土岐泰弘

お父さんの座卓 兼 書斎机の “思い出もよみがえる家具修理“

この座卓・・・
当初は、天板と脚がほぞ組を抜き差しできる変わり種のものでした。

普段は、左右2個の引き出しの上に置かれて、お父さんの書斎机の天板!
来客時には、四隅に脚を差し込んで座卓として、お客様を迎える!

「家具屋歴30年以上の私も、こんな座卓は見たことがなかったです。」

当初は、これとは別の座卓の修理依頼を検討されていましたが、この座卓の思い出話をお聞きして、「せっかく手を入れるなら、この座卓!」と、私がお願いして修復させていただきました。
この時の打ち合わせのやり取りが、とってもなつかしいです。

"思い出もよみがえる家具修理" 作業前の様子

作業内容は・・・
巾接着していた天板が永年の湿度の変化(乾燥や湿気)で剥がれてしまっていたため、天板・幕板・脚と分解して個々に作業を進めました。

天板のあちこちに隙間が空いていたのでは実用的ではないですよね!
そのため、剝がれて隙間が空いてしまっていた天板は埋め木作業をしました。
そののち、メンテナンス性や耐久性を考えてウレタン樹脂塗装にて仕上げました。

幕板の仕口(接合部)が七枚組み(ロッキング加工)で作られている、とっても珍しい座卓!
こんな座卓は、他には無いと思いますので修復をお願いした次第です。

お母さんのお嫁入り道具だった足踏みミシンの “思い出もよみがえる家具修理“

2020年秋…
「最近までお母さん、このミシンを使っていたんですよ・・・。」
とお聞きして、足踏みミシンをお預かりしました。

昭和30年代にご結婚された方の多くがお持ちだった足踏みミシン!
ダイキャスト製(鋳物)の脚フレームのノスタルジーな雰囲気がとってもいいです。

"思い出もよみがえる家具修理" 作業前の様子

作業内容は・・・
脚フレームは、永年愛用されたキズや欠けなどを残しつつ、外装用植物性オイルにて仕上げました。
天板ミシン部分は取り外し、植物性オイル仕上げしたウォールナット一枚板天板を、反りや割れ対策のため駒止め金具を用いて取り付けました。

阿部様のお宅を訪れますと、この元足踏みミシンだったエントランステーブルが出迎えてくれますよ・・・。

お父さんのデスクチェアの “思い出もよみがえる家具修理“

昭和30年代のデスクチェア(別名:ドクターチェア)は、回転部分の主軸以外はすべてが木製というのが一般的でした。

座面や肘先端部はやぶれてしまったのか、張り替えや補強を施されて愛用されていたデスクチェア!

木製フレームは、山桜無垢材をぜいたくに削り出しして曲面部を作り、ほぞ組みで強固に作り上げていました。「この木製フレームが、とってもいい感じです。」

"思い出もよみがえる家具修理" 作業前の様子

作業内容は・・・
木製フレームの座面部・脚部は、ぐらつきが出ていたため、可能な限り分解して改めて組み立て直しました。
そののち、メンテナンス性や耐久性を考えてウレタン樹脂塗装にて仕上げました。

新たに張り上げた椅子張り生地は、シンコール製カネカロンサードのグリーン色のモケット生地です。
こういったビンテージ感あふれる椅子には、モケット生地がとってもお似合いです。

お母さんのお嫁入り道具だった衣装たんすの “思い出もよみがえる家具修理“

TOKI家具館メンテナンスの創業者、故土岐善芳も昭和20年~30年代によく作っていた衣装たんす!

昭和20年~30年代というと・・・
動力機械も無く、すべての工程を手加工し、一つの衣装たんすを作るのに約3カ月もの日数を要していたと、先代 土岐敏勝(昭和10年生まれ)はなつかしそうに話します。

お母さんの衣装たんすも同様の手間と日数をかけて作られたものと作業に臨みました。

"思い出もよみがえる家具修理" 作業前の様子

作業内容は・・・
横幅・高さともに180cmある衣装たんすを可能な限り分解するところから始めました。

強度や耐久性に影響のない古傷はあえて残しつつ、改めて組み立て直したうえで、ウレタン樹脂塗装をし、金属取手もすべて新しいものを取り付けしました。

この衣装たんす、現在はご両親が残された掛け軸や思い出いっぱいの小物を収納されているとのこと・・・。

“思い出もよみがえる家具修理” 写真撮影 前後のこと

写真撮影の前、ダイニングルームに入り少しの打ち合わせ・・・
このダイニングセットは、昭和40年代に作られたもので、他の家具同様の “思い出もよみがえる家具修理” をさせていただきました。
「この時のお茶や手づくり菓子がおいしかったこと・・・。」

そして、写真撮影終了後・・・
阿部くに子様より「土岐さんもいっしょに写真を撮りませんか・・・。」
とうれしいお誘いがありました。

家具屋歴30年以上の私ですが、仕事をさせていただいたお客様といっしょに写真を撮ったことが今までありません。
しかも、プロのカメラマンに撮っていただくなんて・・・。

阿部義澄様、くに子様、ご協力いただき心から感謝いたします。ありがとうございました。

TOKI家具館メンテナンス 土岐泰弘